雪、ときどき嵐

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『絶対アイドル辞めないで』という美しい呪いの曲

 

小学生の頃からアイドルオタクをしてきた。

男性アイドルも女性アイドルも好きで、今もたくさんの推しがいる。

私はガチ恋するタイプではなく、どちらかといえば"アイドルをしている"という姿が好きなオタクだ。

アイドルとしての誇りを持ち、仕事として、プロとして、アイドル活動を全うする人たちが好き。

推したちの、ファンにどう見られるかとか、どうやったら売れるかとかを計算しながら常に自分を売り込む姿勢に惚れながらオタクをしてきた。

 

友達には好きになるアイドルの傾向がわかりやすいとよく言われる。

 

推しへ抱く感情はそこそこ言語化してきたと思っているし、それが重くて気持ち悪いものであるということも自覚している(過去ブログ参照)

 

そんな私の感情を、この曲が全部まとめあげた。

 

 

youtu.be

 


視聴後、ボロ泣き。


実は私は去年からイコラブが好きなのだけれども、帰りの電車の中で見て、降りた直後の夜道で号泣した。

指原莉乃さん、オタクの解像度が高すぎる。

 

 

こんなふうにツイートしていらっしゃったけれども、元アイドルでありながらこの精巧な歌詞を書ける恐ろしさ。

 

オタクとしての激重で激キモで複雑な感情を、こんなにも美しく描けるのか。


過去にもオタクたちの感情を描いたような曲はいくつか聴いてきた。

でもそれらは単純に「好き」という感情を描いたものだったように思う。

この『絶対アイドル辞めないで』は違う。

 

オタクたちの「好き」の先にある感情をとことん詰め込んでいる。

もしかしたらオタクじゃない人には違いがわからないかもしれないけど、私には痛いくらい突き刺さった。

指原Pの作詞力にもはや悔しささえ感じる。


人生で一番「これは私の歌だ」と思ったかもしれない。

 

そしてそれを大好きなアイドルである=LOVEが、大好きな声で、ビジュアルで、笑顔で歌って踊っていて、もうどうしたらいいかわからない。

昨夜からずっとMVを見ては泣いて、感情がぐちゃぐちゃになってまた見るの繰り返しである。
この複雑な感情をせめて文字に起こしておこうと思い、今回このブログを書いた。

 


✳︎

 


この曲の何が最も突き刺さったのか端的に言うと、オタクの中に存在する相反する感情が歌われているという点だ。

 

オタクはアイドルに対して『幸せでいてくれたらそれでいい』という言葉をよく使うように思う。

少なくとも私は何度も言ったことがある。

この感情は、紛れもなく本心だ。
好きな人の幸せを願うなんて人として当たり前のことだと思う。

 

でも同時に、推し自身の幸せとは一切関係のない単なるエゴとして、

"アイドルをしている推し" という姿へのこだわり、

ひいては執着とも言える感情が存在する。

 

赤の他人なんだから理想を押し付けるべきではないと分かっていながらも、自分が好きな姿でいて欲しいと願ってしまうときがある。


例えばそれは髪型や衣装であったり、インタビュー、活動内容にまで及ぶ。

私の感情は昔からこれだ↓

 

 

『絶対アイドル辞めないで』はここまでヘビーなことは歌ってないけれど、かなり近い内容を大好きなアイドルが歌ったという事実でぐちゃぐちゃになっている。

 

いくつか歌詞をピックアップして書きたい。

 

絶対 アイドル辞めないで (ずっと)

輝いてる君を見たい

もう ずっとずっとずっと ステージにいて

 

あまりにもエゴ100%の部分が、とてつもなく真っ直ぐに書かれている。

私も常に思っている。アイドル辞めないで。ずっとずっとステージにいて欲しい。

 

好きな人がいるのなら 内緒にして 

ねえ
神様は 将来と指輪を
どこかに隠してね

 

指原Pの言葉選びの秀逸さ。初っ端からぶっ飛ばしてくる。

内緒にして』とか『どこかに隠してね』は、決して

"好きな人を作らないで"

ということではない。


アイドルにだって好きな人がいたっていい。

ひとりの人間なのだから、当たり前の感情だし、その人の権利だと思う。

それでも、"隠して" 欲しい。

 

たとえば推しが結婚したとき「大丈夫?」とか「やっぱショックなの?」とか聞かれるけど、結婚という事実は私にとって大して重要ではない。
それよりも、結婚をどんなふうにファンに伝えるのかとか、その後のファンとの向き合い方とかのほうが何倍も大事。


ファンが何を思うのか考えながら言葉を選んでくれたり、必要最低限なことだけを伝えてその後はいつも通りでいてくれたりすることこそが求めるものなのだ。

 

めんどくさいね〜!自分でもそう思う!

 

絶対 空で輝いて (ずっと)


星は街じゃ輝かないの


眩しい君が世界一だよ

 

ここ。

『推し』と『星』をかけてるの指原Pは天才超えてもはや神なんじゃないかと思った。

 

オタクが推しへ抱く"絶対に届かなくていい"という感情をこんなに美しく描けますか。
怖い。才能が怖い。そしてオタクの感情への解像度が高すぎる。

 

君の夢は何ですか?

教えて欲しい


その夢がアイドルじゃなくても
覚悟はしてるから

 

アイドルじゃなくても覚悟はしてるから』も、私が常に推しに対して思っている感情そのもので咽び泣いてしまった。


人の考えや感情は都度変化していくのが当たり前だから、いつだってアイドルを辞めるかもしれないと考えている。
アイドル業だけじゃなく、脱退だったり解散だったり、そういう全ての変化を受け入れる覚悟はしている。
その感情まで歌詞に入れ込んでいる。指原Pこわい。

 


絶対 君は歌ってて (ずっと)


ただのエゴとわかってても
 君はキラキラ衣装が似合う!


 

ここもさ……もう怖い。怖いしか言えない。
ただのエゴとわかってても』って言ってるもん。

そうなの、分かってるんだよね。それでもキラキラ衣装が好きなんだ──────。

 

絶対 大きなステージで (ずっと)


一列でも前で感じたい


今日の歌い方 なんか好きだなあ

 

一列でも前で感じたい』はオタク側の座席の話にもとれるし、アイドル側の選抜や序列の話にもとれる。
後ろの方にいた推しが努力で序列を上げて前に出てきてくれる喜びまで描いているとしたら、本当に恐ろしいったらありゃしない。

 

君の努力、私の愛


成り立つ 

この関係は
強くて脆いの

 

ここ、=LOVEすぎる(号泣)。


イコールでありますように、ってイコラブちゃんがよく言ってくれるんだけども、まさにそれ。


強くて"脆い"の、本当にアイドルとオタクの関係そのものだと思った。


アイドルとは赤の他人だし何があってもオタクは願うことしかできない。

でも、確かに関係性はある。そのもどかしさをこんな綺麗に描いている。

 


星の幸せを願った


だけど…でもね

だって君はアイドルよ (ずっと)


初めて目が合った日から
今日も明日も 

君ばかりだ

 

幸せを願ったあとに、『だけど』と『でもね』を繰り返してるの、オタクの葛藤じゃねえか──────。


『今日も明日も 君ばかりだ』なんて、一途なオタクそのもので泣けてくる。

 

これは報われないおとぎ話

恋よりも もっと好きだ


魔法よどうか 解けないままで

 

ここ、本当に痺れた。

全ておとぎ話だし報われないって分かっていながらも魔法が解けないことを願ってしまう。


恋じゃなくて、"恋よりももっと好き"って表現がオタク心そのものだと思う。

 

なんでこんなにも綺麗な表現で描けるんだ。

 

歌詞をいくつか抜粋して書こうと思ったらほとんど全部を抜き出してしまったけど、そのくらい感情が代弁されていた。

 


✳︎

 


そしてここから先が最も書きたかったことなのだけれども、

この曲って本当にむごいと思った。


だって、こんなオタクの激重で激キモで複雑な感情を、当事者であるアイドルが歌っている。

 

オタクが求める最高の笑顔で、最高の衣装で、最高のMVで、『絶対アイドル辞めないで』なんて呪いみたいな言葉を歌う。


こんな残酷なことがあるだろうか。

 

だからこそ、本当に美しいと思ってしまった。

 

アイドルがこちらの感情を動かしてくれた瞬間の高揚感は何物にも変え難い。

それは、アイドルに与えられたものが残酷であればあるほど大きくなる。

 

結局私はアイドルのことを消費していて、彼ら/彼女らの人生をエンタメとして楽しんでいる残虐な人間だ。
それでもアイドルはファンに優しい言葉をかけ、微笑みかけてくれる。

 

この曲は、そのむごさをこれでもかと美しく閉じ込めたものだと思う。

 

しかもセンターが舞香ちゃんというのが、さらにその残酷さを強くしていると思う。

このあたりはあまり深くは書かないけど、舞香ちゃんがアイドルとして最高のウインクを決めるシーンが何よりも綺麗で可愛くて、見るたびに「絶対アイドル辞めないで」って強く願ってしまう。こんなオタクでごめん。

 

私はまさに今のこの自分の相反する感情こそ、『絶対アイドル辞めないで』という曲が描くものの全てだと思った。

 

『"絶対アイドル辞めないで"という自分の感情を肯定された気がした』というコメントを見かけたけれど、私はこの曲がオタクの激キモ感情を肯定してくれたとは1ミリも思っていない。

 

アイドルは、大人から与えられた曲を最高の作品として世に送り出す"仕事''をしている。

プロとしてステージに立つ。

じゃあ、彼女たち自身の感情はどこにあるんだろうとよく考える。

 

私には絶対に分かり得ないそれを考えてはみるけれど、それさえも単なるエゴで、結局商品としてのアイドルを消費しているに過ぎない。

残酷で申し訳ないのに、オタクをやめられない。

この無限ループ。

 

推したちへ「絶対アイドル辞めないで」なんて呪いの言葉を送ることはできない。

でも確かに「絶対アイドル辞めないで」と、そう思っている。

 

永遠に答えが出ないこんなオタクの激重激キモ感情を、この曲はさらりと描いてしまった。

 

ああこれからイコラブちゃんが笑顔でこの曲を歌うたびに私は心を揺さぶられて泣くんだ思うとしんどいし、でも曲もパフォーマンスも好きだし、ライブで思い切り叫べそうなの嬉しいしで、もうどうしようもない。

 

 

 

私はこれからもきっとアイドルに対して自分のエゴをぶつけ続けてしまうと思う。

 

でもひとりの人間として幸せでいて欲しいという感情も常に本心だから、

せめて祈らせてほしい。


いつか解けることなど、とうに分かっている。

それでも私は、ステージの上で輝いているアイドルが見たい。

こんなオタクでごめん。

 

ぜんぶ分かっているけど、

それでも "魔法よどうか 解けないままで" と今日も祈っている。

 

 

 

 

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